強力な排気が引き起こす室内の暑さという困りごと
天ぷら店において排気設備は店舗の命です。排気が弱いと客席に油の匂いが漂い、来店したお客様の衣服に残ってしまいます。
料理がどれほど美味しく接客が丁寧でも、服に油の匂いが残れば店の印象を落としかねません。食事を楽しむ快適な空間を守るために、厨房の強力な排気ダクトは常に稼働し続ける必要がありました。
しかし、その強い排気能力が店内に想定外の困りごとを引き起こしていました。排気を強めるほどエアコンが効かなくなり、客席が暑くなってしまう状態に陥っていたのです。

現場で確認された室内負圧と3階からの熱気引込み
天冨來ゆきむら様は建物の2階に店舗を構えています。現場を確認すると、強力な排気ダクトが室内の空気を外へ排出し続け、店内が強い負圧状態になっていました。
強い排気で室内が負圧になると、周りの空間から空気を引き込むことがあります。窓や給気口が塞がれている空間では、わずかな隙間からも空気が吸い寄せられます。
この現場では、普段使われていない3階の事務所スペースから空気が引き込まれていました。熱気がこもった3階から、熱い空気が2階の客席へと絶え間なく引きずり下ろされていたのです。
エアコンを強運転で動かしていても、上から降りてくる熱気に押されて部屋全体が冷えません。人がいない3階のエアコンを一日中稼働させて冷やしておけば熱気は防げますが、それでは光熱費が無駄にかさみます。営業費用を増やさずに、客席の温度を下げる工夫が求められていました。
強制給気ファンを避け壁面の高い位置に給気グリルを設置
給気不足を解消する教科書的な解決策は、電気工事を伴う強力な強制給気ファンを新設することです。機械で外気を送り込み、強い排気とのつり合いを取る考え方です。
しかし、その工事にはまとまった設備導入費用がかかります。
Future Studio株式会社は、過剰な設備投資を避ける方法を選びました。電気を使わない自然給気によって、空気の通り道を確保する方針を立てたのです。
具体的には、店舗の壁面の高い位置に給気口の穴を6箇所開設しました。穴の位置は、カウンターや客席に座るお客様に冷風や外からの風が直接あたらない高さを選んでいます。開けた穴には防虫網がついたブラックの給気グリルを取り付け、外気を取り入れながら虫の侵入も防ぐ構造にしました。

最小限の器具代で戻ったエアコン本来の冷房効率
高額な給気ファンを新設することなく、器具代をかなり安価に抑えた形で改修を完了しました。壁面に設けた6箇所の給気グリルから必要な外気がスムーズに入るようになり、室内の強い負圧が和らぎました。
空気の通り道ができたことで、3階の事務所スペースから熱気を無理に引っ張り込む現象は大幅に緩和されています。上から降りてくる熱気が遮られた客席では、エアコンが本来の冷房効率を発揮できるようになりました。
衣服に油の匂いを残さないための強力な排気能力は、一切落としていません。排気と給気のバランスが整い、強い排気フードを動かしたままでも涼しい客席環境が維持されています。
無駄な設備工事費をかけず、3階の冷房を動かす余計な電気代も発生させない形で、天ぷら店として理想的な食事環境を取り戻すことができました。
店舗の給排気トラブルや設計の相談を進めるには
Future Studio株式会社では、店舗の設計や施工に対応しています。排気ダクトと給気のバランスといった見えない設備の不具合についても、現場の状況を確認したうえで根本解決の提案を行います。
客席の冷房が効かない原因が、エアコン本体ではなく給排気の気圧差(負圧)にあった事例があります。エアコンの効きの悪さや店内の匂い残りに悩んでいる場合は、現地での確認から相談を受け付けています。
空間づくりの現場では、店舗の設計施工とあわせて映像制作の依頼にも対応しています。お店の営業環境を整える工事から事業の魅力を伝える発信まで、必要な制作を現場に合わせて進めていきます。


